始めに
お子さんが歩き始める1歳前後になると、トイレットトレーニングの開始に適した時期になりますが、この時、用意するお洋服にも大きな変化が必要になります。
単に「かわいい」という大人の目線でお洋服を用意するのではなく、子どもが一人で脱ぎ着できるかどうか、という点を基準にします。
これはお洋服に限った話ではなく、今後、一通りの身の回りのことが自分一人で出来るようになるまで、この一人でできるかどうかというのが自立に向けての大切な選択基準となります。もちろん初めから全部自分一人で出来るということはありませんから、練習が必要です。脱ぎ着しやすいお洋服を準備し、急かさず、繰り返し練習できるような環境を整えてあげられたら良いですね。
上手くできずに焦れている時には、どの点が子どもにとって難しいのか、大人がよく観察し、難しい点はさりげなく(気づかれないように)大人が援助してあげることで、子どもの自尊心を損なわず、お子さんも一人でできたという満足の気持ちで終えることが出来ると思います。
忙しい毎日の中で、急かさずに子どものペースでやり遂げるのを見守るというのは、本当に大変なことです。しかし、今このタイミングを逃してしまうと後では身に付けるのがもっと大変になるというポイントが、子どもの成長には沢山あります。お子さんに「自分でやりたい」という強い気持ちがある時期こそが、そのことを身に付けるベストタイミングです。
① 洋服
歩行が安定してきたら
ロンパースのような上下つながったものや股にスナップボタンのついているものは自分で脱ぎ着できませんので、上下別々の肌着(シャツ・パンツ又はパンツタイプのオムツ)、ボタンやファスナーなどのない被りタイプのお洋服を準備しましょう。
注意点
・パンツ
薄手の綿のパンツが良いです。
トレーニングタイプのものは生地が厚すぎて脱ぎ履きしにくかったり、おしっこがジャーと漏れる感覚が分かりづらいので、普通のパンツを用意します。
この時、前後が分かりやすいように前側にリボンやアップリケなどで印をつけておくと良いと思います。これはズボンも同様です。
・ズボン
まずは素材ですが、デニム生地の様な硬いもの、また逆に伸縮性が良すぎるものも避けます。生地が伸びすぎてしまっても足が通り難く履きにくいです。
足の形にぴったりとフィットするスキニーやスリムタイプのものは避け、ゆったりとした足首の
締まっていないものが良いと思います。パジャマのズボンの様なイメージです。
ウエストはゴムのものが良く、ボタンやファスナーのついているものは避けます。


・スカート・ワンピース
トイレで便座に座る際に上手にたくし上げることが難しいので、トイレットトレーニングが完了するまではできるだけ避けましょう。
・上着
下着のシャツも含め、被りタイプのものを用意します。小さなお子さんは頭が大きいので、肩部分が開き、スナップボタンで留められる様になっているものが多いですが、できれば肩部分の開かないタイプが良いと思います。
また着脱とは少し話がそれますが、特に冬場、お子さんに着せすぎてしまっている方が多い印象です。お子さんは活発に動きますし、暖房が効いているお部屋の中は暖かいです。ヒートテックや裏起毛の服で汗びっしょりというお子さんも時々いらっしゃいます。家の中では綿の肌着の上にトレーナーやロングTシャツ程度で十分です。外出するときに温かいアウターをしっかり着るようにしましょう。
そしてもう一点、お子さんにはピッタリフィットするお洋服ではなく少しゆとりのあるものを着て頂きたいのですが、そうすると袖が少し長いことがあります。手を使った活動を繰り返し楽しむ時期ですので、お袖が長い場合はしっかりと手が出るように袖をまくってあげて下さい。7分袖のものもとても良いと思います。
・靴下
トイレットトレーニングが進んで頻繁なおもらしがなくなってきたら、靴下の練習も初めてみましょう。靴下は小さなお子さんにとって、なかなか難関です。ピッタリしている上に履く際にどちらが前か分かりにくいからです。最近ではつま先や甲の部分にイラストが描いてあるものも売っていますので、そういったものを準備してあげると、そのイラストが見えるように履けばいいので分かりやすいと思います。
靴下をうまく広げられないというお子さんはシュシュなどのゴムを両手の親指で引っ張って練習してみたり、輪ゴム掛けのおしごとをしてみると良いと思います。


ボタンに興味を持ち始めたら
トイレットトレーニングが完了し、被りタイプのお洋服の脱ぎ着が問題なく出来るようになり、お子さんがボタンに興味を持ち始めたら、次の段階に進んでみましょう。
ボタンのあるお洋服
お教室でボタンのおしごとに興味を持ってきたら、ボタンタイプのパジャマを準備します。着ているお洋服のボタンを見下ろしながら閉めるというのは初めは難しいので、おしごととしてボタンの着衣枠などを使って平面でボタンを閉めることに慣れてからやってみると良いと思います。
注意点
・ボタンは大きめ、ボタンボールが縦穴でゆるいものが良いです。ボタンとボタンホールのステッチの色が合わせてあったりボタンの色が交互に変えてあるもの等、どのボタンホールに入れたら良いか分かりやすくなっているものもあります。
・大きいボタンがスムーズに出来るようになったら、徐々にボタンのサイズの小さなものにも挑戦していきましょう。
・ズボンのボタンは硬いものが多く、普通のボタンは開け閉めできても、ズボンのボタンは難しいお子さんも多いです。またお子さんは切羽詰まった状況でトイレに駆け込むことも多いので、ストレスなくズボンの脱ぎ着が出来るよう、幼児期はボタンタイプのズボンは出来るだけ避けると良いと思います。

次回は、靴の選び方についてご説明させて頂ければと思います。
Comentarios