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敏感期について

 モンテッソーリ教育を理解する上で、大切な用語の一つに、「敏感期」があります。モンテッソーリ教具は、この「敏感期」をベースにして、様々な教具がつくられています。


 敏感期は、全ての生物の幼少期にその生物固有の能力を身につけるために特別に敏感な感受性がある一定の期間に現れることをいいます。敏感期はある一定の期間に現れて、その時期が過ぎてしまうと消えてしまいます。そして別の新たな敏感期が現れるのです。


 人間は、身体面と精神面のそれぞれの敏感期が18歳くらいまで様々な形で現れます。

0-3歳の敏感期と3-6歳の敏感期は異なりますが、いずれも動的で、感覚的で、無意識的な要素が強い点は共通しています。




0-3歳の敏感期

1.ことばの敏感期

生後4か月頃から現れますが、胎内にいる時から親の声を聞いています。

周りの人が話す際の音の抑揚をよく聞いており、イントネーションやアクセントなども習得していきます。

母国語の習得もこの頃です。非常に早いスピードでことばを覚えていきます。

声や音に喜びを感じ、身体全体で表すようになります。また音に合わせて身体を動かすこともできるようになります。

2.秩序の敏感期

1歳半頃より現れ、2歳頃が一番強く表れる時期です。

順序、場所、やり方、位置などにとてもこだわります。

「いつも同じ場所にあって変わらない」ことがこの時期の子どもの安心感につながります。

人形やミニカーなどを一列に整列する行動もこの秩序の敏感期だと言えます。

一つでも列からはみ出てしまうと泣いたり、怒ったりする姿も見られます。

いつもと違うルートを散歩すると元に戻ってやり直し、ということもあるでしょう。

同じ場所にいつも同じものがあることが心地よいと感じるので、おもちゃの片づける場所などを毎回同じにすることが望ましいと言えます。

3.運動の敏感期

2歳半頃から現れます。自分のやりたいように身体を動かすことが嬉しい時期です。

「自分でする!」と何でもやりたがるのもこの時期です。これは、周りの人と同じようにしたい、メンバーになりたいという表れです。

手を動かすことで精神面も発達していきます。モンテッソーリ教育の日常生活練習が適しています。

4.小さなものへの敏感期

1歳3か月頃から現れます。

アリ、ダンゴムシなどの虫をじーっと見て動かない、集中してみているあまり、よだれが垂れている姿が見られる時期です。そして小さな変化にも敏感に気づいています。植物のお世話をしていると前日と葉の増え方が変わっている、芽が伸びたなどの発見もする姿も見られます。

5.感覚の敏感期

2歳頃より現れます。

この時期に感覚器官にたくさんの刺激を与え、何回も繰り返し経験することが大切です。

2歳半を過ぎると吸収した感覚をさらに、分類、整理していくようになります。

目で見る、匂いを嗅ぐ、手や足で感触を楽しむ、耳で色んな音に触れたり、ことばを聞く、などの様々な経験はご自宅でもできますので実践されるとよいかと思います。

6.社会性・作法の敏感期

2歳半頃から現れます。大人の行動、発言を真似します。朝晩の挨拶をはじめ、季節や年中行事の挨拶、外国語の挨拶にも興味を持ちます。おままごと遊びの中で、子どもから出る行動や発言は、子どもの中に習得された社会性や作法だと感じることがあります。


3-6歳の敏感期

1.秩序感の敏感期

物の位置、時間の運び、順序、約束などに対して非常に厳格です。物の置き場がいつもと少しでも違うと、苦痛を感じます。

また、多い・少ないなどの日常生活の中での数的要素にも敏感になっていきます。

また精神的な秩序にも厳しく、約束を破ったりすることを嫌がるのもこの時期です。


2.五感(視覚・聴覚・嗅覚・味覚・触覚)を刺激するものへの敏感期

視る、聴く、嗅ぐ、味わう、触れるなどの五つの感覚から入ってくるものに興味を持ち大人には考えられないほどの敏感さで本質的な刺激に応じたり、吸い込まれるように楽しんでいる姿が見られます。


3.小さなものへの敏感期

大人から見たら気づかないくらいの小ささのものを子どもはじーっと見入ったり、素早く発見します。大人では気づかない小さな世界に注意を向けながら、内面の豊かさを深めていきます。



4.正しい動き方への敏感期

力いっぱい動くこと、正しいマナーで振る舞うこと、重いものをもつことなど、動きを正しく定着させ、力をつけるために必要な機会に注意深く熱心にかかわります。

たくさん動いていく中で子どもは落ち着きを身に付けていきます。



5.言語の感覚面への敏感期

聞く、話す、書くなどの言語面の興味が高まる時期です。

文字について早く対応できるようになっていきます。

五感をたくさん経験した子どもは文字を見て、形の違いや似ている字などの発見をします。

この時期までに目と手の協応活動をたくさん経験していると、書く作業がスムーズになり、夢中でお手紙を書く姿も見られます。

また、他人の表現を読むことで、感情移入をしたり、作者の意図を理解することへつなっがっていきます。

他人が書いたことを読んで理解するということはたいへん高度なことなので、書くよりあとに読む時期がやってきます。




今自分の子どもがどの敏感期にいるかを知ることで、子育てに余裕ができ、より良いアプローチができるかと思います。子どもはそれぞれのペースで、段階を踏んで少しずつ成長していきます。ぜひご家庭で、お子様の様子をよく観察されてみてください。

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