モンテッソーリ教育での「トイレトレーニング」の考え方
「トイレトレーニング」は、3歳前のお子さんをお持ちの親御さんが悩むことの一つだと思います。スクール開設当初2016年には、8割ぐらいのお子さんが幼稚園受験の時点で、おむつが取れている状況で、それが年々遅くなってきている、というのが私たちの印象で、今2~3割ぐらいしか、幼稚園受験時におむつが取れていない状況です。
モンテッソーリ教育では、「トイレの自立」というのが、大変重要視されており、「トイレトレーニング」→「トイレットラーニング」と呼ばれ、排泄は人間が営む自然な行為の一つとされています。歩きはじめたら、通常括約筋は機能化され、自分の意志で調整できるようになっています。
スクールにいらしているお子様を見ていても、オムツが取れて、「トイレが自分でできる」ということがぐっと精神的自立につながって、赤ちゃんぽさがなくなって、落ち着きが出てお仕事に集中できるケースが多いです。
下の写真のように、モンテッソーリ教育の環境では、ニドクラスは布おむつ、インファントクラスは、布パンツで過ごします。
排泄にも敏感期がある
「敏感期」というのは、モンテッソーリ教育の用語で、ある特定の時期に子どもがひとつのことに夢中になることによって、あるスキルを獲得するということですが、排泄にも「敏感期」があるとされています。
大体2歳ぐらいまでに、オムツが取れていたり、あるいは、トイレトレーニングが進んでいないと、なかなかそれから急に取ろうとしても、時期をのがしてしまって、大変になることが多いです。
親御さんがよく誤解されるのですが、排泄の感覚というのは、段階があって、まず「濡れて気持ち悪い」という感覚があって、「自分で出す」ということができるようになって、最後に、「尿を溜められる、自分でコントロールできる。」という行動になります。ですので、何度も失敗して、ぎりぎりまでトイレをがまんして、もらしたり、そういう経験を積みながら、子どもは排泄を学んでいきます。
子どもの立場に立って 親と子どもの気持ちの違い
親御さんは、2歳ぐらいになって、お話もよく分かるようになってきたのに、どうしてトイレに行くのを嫌がるの?という風によくおっしゃるのですが、子どもにとってみれば「おしっこが沢山入った重たいオムツを、しょっている」のが当たり前の感覚になっています。逆の立場で考えてみると、私たちが、オムツを渡されて、今日から、ここにトイレをして下さい、と言われても、なかなか気持ちがついていかないと思います。
特に、2歳ぐらいというのは、「秩序の敏感期」といわれている時期で、やり方、順番、関係性などにこだわる時期ですので、今まで「オムツでするのが当たり前」なことを、急に「トイレでしなさい」と言われても、子どもは混乱してしまいます。
子どもは何度も失敗して、学んでいくもの
子どもは何度も失敗するもの、時間がかかるのが当たり前であって、スクールでも、幼稚園入園直前に、慌てて、トレーニングを始めて、大変になって、親子共疲弊しているケースがよく見られます。
また、親御さんが「トイレに行きたいって、自分から言わないんです」とおっしゃる方が多いのですが、子どもは、なかなか自分からは、「トイレに行きたい」と言いません。幼稚園生になっても、ぎりぎりまでがまんして、慌ててトイレに行ったりします。かといって、繰り返し繰り返し、トイレに行けるようになってから、親が「トイレ行きなさい」と言うのも、子どもにとっては、ためる感覚が練習できないので、親御さんには、トイレができるようになったら、適度に声掛けをして頂ければと思います。そうやって、子どもは自分で失敗しておもらししながら、少しずつ自分の排泄のタイミングを掴んでいきます。
次回は、紙おむつ→パンツへの無理のない導入の仕方をご紹介します。
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